Raspberry Pi OSとは
この記事では、ラズパイを動かすためのRaspberry Pi OSについて解説します。
Raspberry Pi OSとは
ラズパイ専用OS
ラズパイを動かすのに必要なOSです。ラズベリーパイの開発を行っているイギリのラズベリーパイ財団が公式にサポートしています。
OS (Operating System、オペレーティング・システム)は、コンピューターを動かすための基本となるソフトウェアのことです。有名なものに、AppleのMacOS、MicrosoftのWindowsがありますね。スマホ向けにはiOSやAndroidがあります。
オープンソース
Raspberry Pi OSはオープンソースのLinux(リナックス)系のOSで、誰でも無料でダウンロードして使用できます。
オープンソースとは「企業がブラックボックスにして売っているやつを買うんじゃなくて、みんなで作って、不具合はみんなで直して、みんなで改良して、みんなで一緒に幸せになろうよ」という思想のもと、全世界から様々な国の人が開発に参加し、すべてのソースコードや設計図が公開され、誰でもお金を払うことなく使用できるソフトウェアやハードウェアのことです。
Raspberry Pi OSも、多くの人が開発に参加しています。アプリの開発をちょっと覗いてみたい方はこちらをごらんください。
Linuxディストリビューションのひとつ
厳密には、”Linux”はOSの中核となるカーネルと呼ばれるもので、カーネル以外のソフトウェアも含めたOS全体をLinuxディストリビューション(Linux Distribution, Distro)と呼びます。
現在無数にあるLinuxディストリビューションの起源・先祖は、有名なペンギンマークのGNU/Linuxです。ここからの様々なディストリビューションが派生していき、Debian(デビアン)が派生し、さらにDebianから派生してRaspberry Pi OSが生まれました。そのため、Raspberry Pi OSは過去にはRaspbian(ラズビアン)と呼ばれていたのです。
Raspberry Pi OSの使い方
デスクトップがありとなしのバージョンがありますので、わけて説明します。
デスクトップありのバージョン
MacやWindowsのパソコンと同じように、GUI(Graphical User Interface)があるためマウスとキーボードの操作で直感的に使えます。
MacのFinderアイコン、Windowsのスタートボタンに相当するのが、左上のラズベリーアイコンです。クリックするとメニューが開き、ソフトウェアの一覧や設定の一覧が表示されます。また、OSの更新、アプリケーションのインストールや削除もこのメニューから行えます。また、ラズベリーパイの電源Offもここから行えます。
ラズベリーアイコンの隣にはショートカットが並んでいます。地球儀のアイコンをクリックすると、Chromium(クロミウム)というデフォルトのブラウザーが開きます。
フォルダーのアイコンをクリックすると、MacのFinder、Windowsのエクスプロラーに相当するものが開きます。
ターミナルのアイコンをクリックするとターミナルが開きます。Macのターミナル、Windowsのコマンドプロンプトに相当します。このターミナルにコマンドを入力することでも、OSの更新、アプリケーションのインストールや削除が行えます。
デスクトップなしのバージョン
GUIはなくCUI(Character User Interface)しかないため、外部ディスプレイを接続してもこのような表示になります。lsやpwdといったコマンドと言われる命令をキーボードから打ち込んで使用します。Linuxに慣れている方向けのバージョンと言えるでしょう。OSの更新やアプリケーションのインストール、ラズベリーパイの電源Offには、以下のようなコマンドを入力します。
OSの更新
$ sudo apt update $ sudo apt -y upgrade
アプリケーション(例:Apache Webサーバー)のインストール
$ sudo apt install apache2 -y
電源Off
$ sudo poweroff
遠隔操作
デスクトップあり・なしバージョンにかかわらず、Raspberry Pi OSは、どのバージョンでも、使い慣れたMacやWindowsパソコンからSSHでリモート接続し、ターミナルを通して遠隔操作することができます。
デスクトップありバージョンの場合、MacやWindowsパソコンからリモートデスクトップ接続をし、マウスとキーボードで操作することもできます。
Raspberry Pi OSの種類
タイプとバージョン
タイプとしてwith desktop(デスクトップあり)、with desktop and recommended software(デスクトップあり+プレインストールされたアプリケーションつき)、Lite(デスクトップなし)の3種類があります。
これらがさらに、32bit最新版、64bit最新版、32bit旧版とわかれています。
タイプ / バージョン | 64bit最新版 (bullseye) | 32bit最新版 (bullseye) | 32bit旧版 (buster) |
with desktop | ◯ | ◯ | ◯ |
with desktop and recommended software | 提供なし | ◯ | 提供なし |
Lite | ◯ | ◯ | ◯ |
Raspberry Pi OSはDebianをもとに作られていますので、もとになるDebianのディストリビューションが最新版(bullseye)か旧版 (buster)か、の違いです。
対応するラズベリーパイ機種
最近のラズパイの機種ではすべてのバージョンのRaspberry Pi OSを使用できます。
64bit最新版 (bullseye) | 32bit最新版 (bullseye) | 32bit旧版 (buster) | |
Raspberry Pi 3 | ◯ | ◯ | ◯ |
Raspberry Pi 4 | ◯ | ◯ | ◯ |
Raspberry Pi 400 | ◯ | ◯ | ◯ |
Raspberry Pi Zero 2 W | ◯ | ◯ | ◯ |
Compute Module | ◯ | ◯ | ◯ |
その他の旧バージョン(Pico除く) | 利用不可 | ◯ | ◯ |
Raspberry Pi OSの選び方
最近のラズパイを買った場合
Raspberry Pi 4 Model Bやキーボード一体型の400、Zero 2 Wを購入し、あたらしくラズパイを始める場合、64bit最新版 (bullseye)がおすすめです。これらの機種はハードウェアが64bitなので、64bitの最新版OSと一緒に使用すると、その能力を最大限引き出すことができます。
古いラズパイをもっている場合
32bit最新版 (bullseye)がおすすめです。このバージョンのRaspberry Pi OSはすべてのバージョンのラズパイで使用することができます。
過去に作ったプログラムがある場合
32bit旧版 (buster)がおすすめです。64bit/32bit最新版 (bullseye)では旧版にあったコマンドや機能が削除されていたりして過去に作ったプログラムが動かない場合があるためです。
しかしながら、将来も考えると早めに最新版 (bullseye)に移行したほうがいいかもしれません。
おわりに
さて、いかがだったでしょうか? Raspberry Pi OSは簡単にmicroSDカードにインストールできますので、色々試してみるのも面白いかと思います。インストールについては、ラズベリーパイのOSインストールと初期設定をごらんください。