ラズベリーパイPicoの最新版Pico Wについて、マイコンの解説もまじえながら詳細を解説します。

Raspberry Pi Pico Wとは

PicoシリーズのWiFi搭載最新版

2021年に販売始まったラズパイの小型マイコンRaspberry Pi Picoシリーズの最新バージョンです。これまでのPicoマイコンは無線の機能がありませんでしたが、Pico WにはInfineon Technologies製の無線チップCYW43439が搭載され、Wi-FiとBluetoohの機能が追加になりました。

現在まだBluetoothの機能はSDK上で有効になっていません。今後のアップデートが期待されます。

 

マイコンとは

マイクロコントローラー(Microcontroller、MCU、マイコン)とは、シングル・チップと呼ばれるひとつの集積回路からなる、安くて小型なコンピューターのことです。OSを使用できず、シングルスレッドで動作します。

マイコンの用途は?

機械などをコントロールするための単純なループ処理を永遠に繰り返すような場合です。例えば、温度センサーからの温度情報を液晶モニターに表示しつつ、ボイラーをちょうどいい具合に制御し、お湯を43℃に保つ、のようなケースです。

そうです! 給湯器にはマイコンが使われています😊♨

代表的なマイコンとしてATMEGA328Pというマイコンがあります。これは32KBのメモリを搭載した8ビットマイコンで、Arduinoボードでよく使用されています。他にもESP32など数多くのマイコンが存在しますが、最近注目されているものにCortex-M0+があります。これは英国のARM社が開発、設計を行っている32ビットマイコンで、Raspberry Pi Pico WにはこのCortex-M0+を2つ載せたRP2040というチップが搭載されています。

これまでのラズパイシリーズとの違い・メリット

Pico WはRaspberry Pi・400・Zeroシリーズのようなシングル・ボード・コンピューターとは全く違います。マイコンなので、Raspberry Pi OSを入れて動かすことはできません。そもそもmicroSDカードスロットがありません。デスクトップPCとしても使えません。カメラも接続できません。

しかし他のラズパイシリーズにはないメリットがあります。

セットアップが簡単! 1分もかかりません
起動が早い! 電源をつなげば一瞬で起動
消費電力が小さい! 単3電池2本で動く
フラッシュメモリ搭載! microSD必要なし
ADC搭載! アナログ型のセンサーが簡単に使える
お手頃価格! 1,000円
買える! 在庫があります

いかがでしょうか? 他のラズパイに比べ、安価にすぐ電子工作やプログラミングをはじめることができます。

Pico Wを使うと、電池で動くちいさなおもちゃなどをスマホ対応のハイテクおもちゃに改造できます。

 

Picoシリーズのバージョン

現在、Pico、Pico H、Pico Wの3種類があります。Picoは基板のみ、Pico Hはヘッダーピンがはんだ付け済みです。

いまのところPico Wはヘッダーピンがついていない基板のみですが、Pico WにヘッダーがついたPico WHが今後出てくる予定です。

Pico ヘッダーピンなし
Pico H ヘッダーピン付き
Pico W ヘッダーピンなし、無線機能あり

 

Pico Wがほしい!

イギリスや海外で発売が開始された時点でPico Wは日本の技適が未取得でしたが、2022年10月7日に技適が取得されました。国内販売は2023年3月27日に開始されました。

 

Pico Wのスペック

スペック

Pico Wの主要スペックは以下のようになっています。

プロセッサー RP2040
 マイクロコントローラー デュアルコアArm Cortex-M0+
メモリ SRAM 264KB
フラッシュメモリ QSPI 2MB
無線チップ Infineon Technologies CYW43439
 Wi-Fi 2.4GHz 802.11n
GPIO 26 (アナログ入力 x 3)
インターフェース UART x 2、SPI x 2、I2C x 2、 PWM x 16
USB USB 1.1 x 1
電源 micro USBコネクタからDC5V入力
VBUSピンからDC1.8〜5.5V入力

 

Pico Wの使い方

別のレビュー記事で詳細な使い方を解説していますので、ここではざっくりとLチカのみ説明します。

準備

購入したばかりのPico Wボードはまっさらな状態ですので、MicroPythonのファームウェアを書き込んだあとから使用できるようになります。

ファームウェアを書き込む際は、BOOTSELボタンを長押ししてPCにPicoボードをUSBのマスストレージデバイス(USBメモリ)として認識させたあと、Pythonのプログラムを作成するThonnyエディターからファームウェアの書き込みを行います。

また、LEDの操作など便利な機能が入っているpicozeroライブラリーをパッケージマネージャーからインストールしておきます。

 

プログラムの書き込み

例としてThonnyから以下のプログラムをPico Wに書き込みます。

from picozero import pico_led
from time import sleep

while True:
    pico_led.on()
    sleep(1)
    pico_led.off()
    sleep(1)

動作確認

書き込みが終わると同時に、Pico WのオンボードLEDが1秒間隔で点滅を始めます。

 

ここまでかかった時間

Pico WをPCに接続してから3分も経っていません! これをRaspberry Pi、400、Zeroシリーズでやろうとしたら、OSのインストールから初期設定、アップデート、再起動と、30分近くかかります。

 

おわりに
いかがだったでしょうか? 別のレビュー記事 「夢のようなデバイス!  Raspberry Pi Pico Wレビュー」では、Pico Wの威力を発揮するネットワークを使ったLチカなどのやりかたも紹介しています。

みなさんもぜひPico Wが発売されたら使ってみてくださいね😊